daddy_pipecut


その神経がわからん!


518: 名無しさん@おーぷん 21/04/09(金) 03:58:30 ID:vK.tb.L1

元上司がスレタイ。

もう10年くらい前の話だけど、そこの会社は古株の事務さんがいて、みんな “事務さん” って呼んでたけど、仕事内容は全然事務じゃなかった。

“事務” って言ったら普通は書類整理とか伝票発行とか発注とかのイメージだけど、PMやらデザインやら、若いのによくもまぁそんなにいろいろできるモンだって感心するくらい手広くやってた。

その人は大卒で、入社してからも『資格を取りたいから』って通信制の学校にも通ってたくらい勉強熱心で、会社に足りなさそうな知識とか制度とかを仕入れてくる人だった。

あれとこれを組み合わせたら今までの作業を半分にできるとか、よく人の仕事を見ててアドバイスをくれるのがすごくうまかった。

以前と比較して作業効率もクオリティも段違いに上がった。
実際、事務さんのサポートのおかげで自分の業務に集中させてもらえてた人はセクションの半分以上いた。





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正直、その人が辞めたら会社潰れんじゃないのってくらい会社の要だったと思う。
管理職は入ってきた仕事を事務さんに丸投げして
「うまいこと回しといて。あとよろしく」
って感じ。


いつだったか事務さんが珍しく落ち込んでた。

話を聞いたら、上司から
「間接部門にこれ以上コストをかけたくない」
から、
「今後は昇給しない」
と言われたそうだ。

「そのかわり、賞与が出るときは少し多めに支給する」
と言われたそうだが、そもそも賞与が常にもらえる会社じゃなかった。
実際、賞与もその直後に1回出ただけで、そのあとはずっと出てなかった。



少し経って、事務さんが産休と少しの育休をとってすぐ復帰して、ますます仕事にのめり込んでた。
「保育園に合わせて時短勤務になったから、その分稼がなくちゃ」
って。
「今の世帯年収だと生活ギリギリで、こどもの教育資金も貯めたいから」
って。
賞与が出るように新しいプロジェクトもいっぱい出して、俺もマネジメントについて学ばせてもらうことができた。


事務さんは資格を取った後から配置換えをずっと希望してて、
「(俺たち)と同じセクションで働かせてください」
って上司に言ってた。

そうしたら上司は
「事務の仕事と兼任ならいい」
って言いやがって、事務さんの見立てでも『兼任は無理』と諦めてしまったらしい。

なんで素直に配置換えをしてあげないのか、シ酉の席で上司に聞いたら呆れたよ。
「事務さんの後任がいないから」
だってさ。

『じゃあ後任を探せばいい』と言ったら
「事務さんが持ってるノウハウは事務で活かしてもらう」
だのなんだの。

そのくせ
「事務なんて誰にもできる」
だの矛盾してる。


いよいよ耐えられなくなったのか、事務さんが
「2ヶ月後に退職します」
と上司に言った。
「もっと自分の可能性を試したい」
と。


でも本当のところはやっぱり待遇に不満があったんだと思う。
事務さんの提案したプロジェクトが大きく利益を上げたのに、賞与は『新卒の1/3だった』って言ってたから。
客観的に見ても、事務さんの業務は上司からの評価と給料に明らかに見合ってなかった。
上司は『辞めないだろう』とたかを括ってたんだと思う。


事務さんが退職の意志を示したことで上司はパニックになってた。
「後任をすぐに探すから、引き継ぎをしてくれ」
って。

でも事務さんのやってた仕事ってマニュアル化できないものの方が多くて、事務さん個人だからこそ出せるアイデアとか知識とノウハウの方が重要だった。
「今までやってきた仕事のリストと必要なスキル、習得までのコストを計算した資料を上司に渡して『誰にでもできる仕事ですから、頑張って後任を探してください』って言ってやったわ!」
って笑う事務さんには正直グッときた。


その後は、『あと2ヶ月働いて後任に引き継ぎしてくれる』て勝手に思い込んでた上司と、『有給消化するからもう来ない』と宣言した事務さんとでまた悶着があったらしいけど、最終的には事務さんの要求が通ったみたいだった。
上司抜きでやった送別会でも、事務さんは一人ひとりに丁寧にアドバイスしてくれて、最後まで世話になりっぱなしだった。


俺も結局事務さんが辞めて2年くらいで転職した。
物好きな元同僚がまだ働いてるから時々話が聞けるんだけど、アホ上司は未だに
「事務さんが辞めなければ」
とか
「この条件で呼び戻せ(※昇給1,000円のみ)」
とか言ってるらしい。


事務さんが辞めてから新しく雇った人は
「求人票と違う」
ってすぐに辞めてしまうそうだ。
そりゃ入りたての人に事務さんと同じだけの仕事量なんて無理があるよ。

いまだに事務さんの価値が分かってない元上司の神経がわからん話でした。





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